本稿では、金融政策運営における為替レートの政策的な位置づけをめぐって、GaliandMonacelli(2005)に基づく小国開放経済モデルを用いたシミュレーション分析を行った。Divino(2009)に基づいて金利平価条件にリスクプレミアムを導入し、これを追加的な均衡条件とした。金融政策ルールとしてPPIインフレーションに反応するテイラールール(DITR)、CPIインフレーションに反応するテイラールール(CITR)、PPIインフレーションと名目為替レートに反応するルール(DITR+ER)の3つを想定し、それぞれについてインパルス反応関数を計測した。分析の結果、GaliandMonacelli(2005)のケースと異なり、必ずしもDITRがCITRより安定化に適しているとはいえないことが示唆された。またDITR+ERについても、状況によってはDITRやCITRを上回る経済パフォーマンスの改善が見られることが示された。