本稿では,1980年代から1990年代にかけて日本の金融政策が為替レートの安定化にどの程度関心を持っていたのかという問題に対して,多変量時系列モデルを用いた実証分析を行う。分析にはKim(2002)に準じた短期制約付きの構造VARモデルに加えて,Jang and Ogaki(2004)による長期制約VECモデルを採用する。インパルス反応関数による分析の結果,短期制約と長期制約のいずれのモデルにおいても,金融政策は為替レートの安定化に努めていたことが確認された。