1997年の消費税率引き上げが関西経済へ与えた影響

概要

本稿では前回の増税(1996年~97年)が関西経済に与えたマクロ的影響を振り返って検討することで、消費増税が関西経済に与える影響について考察する。今回の消費増税は、関西経済に前回ほどの大きな負の影響は与えず、景気の腰折れは回避できると考えられる。その根拠として、次の3つを挙げる。 1) GDPの構成項目のうち、最も消費増税の影響を受けたのは住宅であったが、住宅がGDPに占める割合は当時と比べて半減している。2) 前回と比べて、補正予算による消費増税の激変緩和措置が拡充している。また2013年度補正予算の効果が関西に波及することで、関西経済の落ち込みは一定程度カバーされる(APIR Trend Watch No.17)。3) 前回増税時は年後半の海外金融危機の影響によりセンチメントは大幅に悪化した。今回は同様のダウンサイドリスクが発生しない限り、早い段階でセンチメントの改善が期待できる。以下では、これらを順にみていこう。

タイプ
収録
一般財団法人アジア太平洋研究所